『片田舎のおっさん、剣聖になる』レビュー|この師匠、渋さが反則級

中年の剣術師範ベリルをイメージした剣士のイラスト 漫画

※この記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。現在の購入先リンクは通常の商品ページです。

ごきげんよう、ぬる読み.blogです。突然だけど、みなさま。「強い男」ってどんな男を想像する? 筋肉が隆々で、俺が最強だと叫ぶ勇者? それも悪くないけれど、今回のお相手は少々違うの。

剣の腕はとんでもないのに、本人はどこまでも控えめ。本人だけが自分のすごさに気づいていない、そんな渋い師匠が王都で思いがけない再評価を受けるお話。『片田舎のおっさん、剣聖になる』の漫画版をぬるっと紹介しちゃうわ。

世間は若さをありがたがりがちだけど、時には経験で積み上げた厚みが何よりかっこいい。いや、私の好みを正当化してるんじゃないわよ。ちょっとしか。

あらすじ(ネタバレなし)

片田舎で小さな剣術道場を営むベリル・ガーデナント。穏やかな日々を送る彼のもとに、かつての教え子であり、今や王国騎士団長となったアリューシアが訪れます。

「ベリル先生を騎士団付きの特別指南役として推薦しました」。その申し出をきっかけに、ベリルは王都へ向かうことに。そこで待ち受けるのは、立派に成長した教え子たちとの再会、そして田舎の道場とは違う世界で試される剣の実力です。

ところが本人の自己評価は相変わらず慎ましい。周囲が認める力量と、本人が思う「自分なんて」の距離がとにかく大きいのよ。この温度差が物語の面白さになっていきます。秋田書店の第1巻公式紹介でも出発点を確認できます。

王都へ行く、という筋だけなら華やかな出世物語に聞こえる。でも、ベリルにとっては、それまで人を教えてきた場所から離れ、自分のやり方が通じるかもわからない環境に入ることでもあるのよね。長く続けた仕事の価値を、違う職場に移って初めて他人から教えられることってあるじゃない。彼の戸惑いにそんな身近な感覚が混じるから、騎士団の話なのにすんなり気持ちが入っていくの。

感想レビュー|派手な無双より、積み重ねた剣が光る

① 「俺TUEEE」ではなく「先生、あなた強いんです」

この作品の魅力は、ベリル本人がやたらと強さをひけらかさないところ。自分を大きく見せようとしないのに、剣を交える場面になると、積み上げてきた技術や判断力が見えてくる。そういう強さ、いいじゃない。

若き天才が派手な必殺技で全部ひっくり返す爽快感とは違って、ベリルの強さには地道な稽古の手触りがあるのよね。「昨日の自分より少し前へ」がずっと続いたら、こんな男になるのかしら。私なんか腹筋三日目で自分を褒めてるというのに。

② 教え子たちの成長が、師匠の価値を教えてくれる

アリューシアをはじめ、ベリルが育てた人々はそれぞれの場所で活躍しています。ここが大事。単に「おっさんが最強でした」で終わらず、師匠が誰かの人生に残したものが見えてくるの。

教え子たちが先生を高く評価する一方、本人だけが少々ぽかんとしている。もう、自己肯定感が迷子なのよ。迷子センターで「ベリル・ガーデナントさま、あなたの実績をお預かりしています」って放送してほしいくらい。

③ 漫画版で楽しみたい、剣と人間関係の見せ場

漫画版は、剣を振るう人の動きや間合い、人物の表情を絵で追えるのがうれしいところ。落ち着いた師匠の立ち姿と、彼を見つめる周囲の熱量。そのコントラストが作品の魅力を支えています。

ただし「何も考えず延々と敵を蹴散らすタイプの無双」を求めている人には、師弟関係や会話のパートが多く感じられるかもしれません。逆に、大人の主人公が信頼を積み重ねていく話が好きなら、かなり相性がよさそう。

教える側の強さって、自分なら一瞬でわかることを、相手がわかる速度まで落として考えられるところにも出ると思うの。剣の見せ場だけを目当てに読んでいると、教え子たちが先生をどう見ているか、というもう一つの見せ場を見落としそう。腕の差は勝負で見えるけれど、教わった側が何年も覚えていることは、勝負の成績表には載らないでしょ。師匠の実績が弟子の振る舞いににじむ、という読み方ができるのが好きだわ。

あと、剣を描く漫画で嬉しいのは、結果がわかる前の時間にも目を止められること。手の位置や体の向き、相手との間隔を眺めると、勢いで押し切る人と、次に起きることを見ながら動く人とでは、同じ一振りでも印象が違う。ベリルの控えめな性格と、経験を土台にした判断力を並べて読むと、日頃の落ち着きがそのまま剣につながって見えるのよ。派手な技の名前を覚える楽しさとはまた別のところにある、漫画版の読みどころね。

お気に入りメンズ紹介(ゲイ目線)|ベリル先生、ちょっとこちらへ

さあ、本日のメインディッシュ。ベリル・ガーデナントよ。あらすじでもう十分登場してる? いいの。推しは何度でも紹介するものなの。

派手に飾らないし、自分に自信満々というわけでもない。でも落ち着きがあって、教え子たちの信頼を集めてきた。こういう「自分からは語らない実力者」って、ずるくない? 目立とうとしないのに目が行く。立ってるだけで経験値の匂いがする。

個人的に刺さるのは大人の余裕と、師匠としての面倒見。強いから好き、というより、長く人を育ててきたからこその包容力がたまらないのよ。「大丈夫だ」なんて静かに言われた日には、こっちの心の防御力がゼロ。

しかも本人は自分がモテる理由に鈍そうな雰囲気。こちらが一生懸命ときめいている横で、本人は今日の稽古内容でも考えていそう。そこまで込みで、たいへんよろしい。

もちろん、男性キャラを勝手に恋愛対象として設定する話ではありません。ここは私の「こういう大人メンズ、いいわねぇ」という個人的な推し語り。ベリル先生の実直な魅力を堪能したいのです。

ゲイ目線でもう一つ言わせて。年上の人の魅力を、若いころより衰えたものを数える方向で描く話もあるけど、私は、年齢を重ねたぶん増えたものに目が行くの。人の得意不得意を見分けること、気まずい場で声を荒らげずにいられること、頼られても相手を子ども扱いしないこと。ベリルには、そういう大人のかっこよさを想像させる余白がある。そりゃ肩幅も見ますよ。見るけど、最後に思い出すのは立ち方なのよね。

どんな人におすすめ?

  • 渋くて頼れるおっさん主人公が好き
  • 剣術・バトルファンタジーが好き
  • 師弟の信頼関係や再会に弱い
  • 年齢を重ねた人物の再評価にぐっとくる
  • 主人公が控えめなのに周囲から強く認められる展開が好き

一方で、恋愛一本の物語や、テンポ最優先の派手なチート無双を期待するとイメージは少し違うかも。作品の軸は、ベリルの剣と、教え子たちとのつながりにあります。

読むときは、ベリルが自分をどう語るかと、教え子が彼をどう語るかを、両方追ってみてほしい。片方だけで受け取るより、言葉の差に人物像が立ち上がるから。師匠ものが好きな人なら、再会のうれしさだけでなく、教え子が成長したあとも続く関係の味わいがあるはず。仕事や趣味で何かを長く続けてきた人なら、身についた力ほど本人には当たり前になって見えにくい、という部分にも思い当たるかもしれないわ。

まとめ|おっさんの渋みは、熟成期間が違うのよ

『片田舎のおっさん、剣聖になる』は、田舎の剣術師範ベリルが、成長した教え子たちとの再会をきっかけに、王都で実力を発揮していくファンタジー。剣の強さだけでなく、人を育ててきた時間そのものが魅力になっています。

若さも勢いも素敵。でも、歳月を重ねた人にしかない落ち着きってあるじゃない。ワインなら熟成、チーズなら旨み、ベリル先生なら……ええ、剣と包容力。何でも食べ物に例えるのは悪い癖ね。

ぬる読み的には「強いおっさんに惚れたい」「師匠と弟子の関係を味わいたい」方におすすめ。まずは第1巻で、ベリル先生の控えめな魅力を確かめてみて。

作品を読むならこちら

コミックシーモア:『片田舎のおっさん、剣聖になる』の作品ページを見る

DMMブックス:『片田舎のおっさん、剣聖になる』漫画版 第1巻をDMMブックスで見る

こちらの作品もおすすめ

おっさん・師匠キャラが好きなら、『お気楽領主の楽しい領地防衛』レビューもどうぞ。執事エスパーダへの愛をぬるっと語っています。

作品情報の確認先:秋田書店公式/コミックシーモア作品ページ。この記事は漫画の公式紹介をもとにした作品紹介・魅力分析であり、未確認の巻や場面を実読した体験談として記載していません。

タイトルとURLをコピーしました